ーASIA-スーパーバンドが放った良質なスタジアム・ロックの名2nd作!

概要
John Wetton(b,vo/ King Crimson、Roxy Music、UK)、Steve Howe(g/Yes)、Geoff Downes(key/ The Buggles、Yes)、Carl Palmer(ds/ Emerson, Lake & Palmer)というブリティッシュ・プログレ界の大物が結成したスーパー・ロック・バンドの先駆け的な存在で80年代に大成功をおさめた。

Artist

ASIAとは

イギリスのロックバンドYesのマネージャー、Brian Laneの発案によって1981年に結成。

初期メンバー

  • John Wetton(ボーカル、ベース)
  • Steve Howe(ギター)
  • Geoff Downes(キーボード)
  • Carl Palmer(ドラム)

70年代にプログレッブ・ロック・シーンで培った才能をポップ・ロック・サウンドへ導入するという新たなポテンシャルにトライする。

デビュー・アルバム『Aisa』は、1982年にリリース。緻密でありながら大衆志向を目指したサウンドが功を奏し、「Heat Of The Moment」(米4位)を筆頭に「Only Time Will Tell」(米17位)、「Sole Survivor」等のシングル・ヒットを連発。

アルバムは、全米ナンバー1を9週間もキープ、年間アルバム・チャートもトップに輝く大ヒットを記録した。そのいわゆる、コマーシャリズムの姿勢には一部コアなマニアから批判も浴びたが、Journey等とともに80年代のロック・シーンを象徴するバンド、アルバムとなったのは事実だ。

ASIAは、今現在も存続するも慌ただしいメンバーチェンジが理由で活動の不規則感は否めない。なお、リーダー格のJohn Wettonが2017年他界後は、Billy Sherwoodを迎え入れ、ステージ活動をメインに根強い支持を得ている。

おすすめアルバム

『Alpha』

1983年リリースの2ndアルバム。前作同様、Mike Stoneがプロデュースを担当。彼はQueenやJourney作品でも名を馳せた敏腕だ

デビュー作以上に大衆志向を強めた故に二番煎じ的な捉え方もされたが、やはり佳曲が並ぶ。キャッチーでコンパクトにまとめた「Don't Cry」(米10位)、AOR風味のバラード「The Smile Has Left Your Eyes」(米34位)といったシングル・ヒットに恵まれ、11曲を収録したアルバムも米チャートの6位まで上昇、手堅い支持をえる。但し、セールス面ではデビュー作の400万枚に及ばず、100万枚に止まった。

ソングライトはJohn WettonGeoff Downesの共作でSteve Howeの楽曲は採用されず既にメンバー間はギクシャクした状態となり、いわゆる物議を醸す1作となった。

Youtubeの曲の説明

「Don't Cry」(米10位)アルバム1曲目

Asia Dont Cry

アルバムからの1stシングル。当時、圧倒的な影響力を持つMTVの台頭で、ストーリー性を重視したプロモクリップに仕上げられているが、やはり個人的には演奏シーンが欲しかった。

「The Smile Has Left Your Eyes」(米34位) アルバム2曲目

Asia - The Smile Has Left Your Eyes

2ndシングル。こちらはより、映画仕立てのプロモだが、かろうじて演奏シーンがあるのがちょっぴり嬉しい。

ほろ苦いエンディングが印象的だ。

「The Heat Goes On」アルバム5曲目

ASIA The Heat Goes On 52adler varied music

高揚感を伴ったスリリングな1曲。ライヴでも必須レパートリーだ。

「Open Your Eyes」 アルバム10曲目

ASIA Moscow 1990 - Open Your Eyes

John Wettonの繊細なヴォーカルが魅力のナンバー。個人的にはアルバム中でもお気に入り。

個人の感想

『ALPHA』のリリース後、初来日が決定したが、その直後、John Wettonが脱退、代わってGreg Lake (King Crimson、Emerson, Lake & Palmer)が緊急参加。

当時、ライヴ会場に足を運んだ身としては、複雑な心境になったのを鮮明に覚えている。

やはり、個性の強いメンバー揃いのため、エゴも見え隠れし、演奏自体にもその影響が少なからず出ていたと思う。一部からは、彼らのステージは、ソロ・パートが技量的にも最も充実しているとの揶揄されもした。ただ、個人的には、そうした危うくもちょっと苦笑シーンも盛り込まれたステージが大好きだった。

当時、違和感を覚えたGreg Lakeの存在も、今にして思えば、非常に貴重な瞬間であった。初来日後、Greg Lakeは去り、John Wettonが復帰、入れ代わるようにSteve Howeが脱退、アルバムAstra』(1985)を発表するもセールス面で苦戦、バンドは活動を停止。

1990年以降、活動を再開させると共に不定期ながらアルバム制作やライヴを行う等、アクティヴ・バンドとして活躍。チャートとは無縁ながら根強い人気を誇る。現行バンドは、メンバーの入れ替わりがありながらGeoff DownesCarl Palmerというオリジナル・メンバーが中心となり、ASIAというブランドは形骸化の印象も拭えないが、それでもオンタイム派に取っては唯一無二のスーパーバンドだ。