概要 マーク・ボランを中心とし、顔に化粧を施し、サテンのジャケットを身に纏い妖艶なルックスとキャッチーなロック・サウンドでグラム・ロック・ムープメントを牽引したブリティッシュ・ロック・シーンの立役者。 |
Artist
T.REXとは
1965年、ソロ名義でデビューしたマーク・ポランがガレージ・バンド、”John's Children”を経て、パーカッション担当のスティーヴ・トゥックと共にコンビ体制で”Tyrannosaurus Rex”を結成、1968年にデビュー。
アコースティック・サウンドを主軸にサイケデリックなフォークロック・ユニットとして「Debora」(英34位)、「One Inch Rock」(英28位)等のスマッシュ・ヒットを放ち、カルト的な人気を得る。
1969年、スティーヴからミッキー・フィンへとメンバー・チェンジ。これを契機にマークはエレクトリック・ポップ・ロック志向にシフト。1970年を契機に”T.REX”と改名、「Ride a White Swan」が全英2位を記録、ブレイクを果たす。これと連動する格好でヴィジュアルも妖艶なルックスにイメージ・チェンジ、アイドル的な人気を獲得、以降、「Hot Love」、「Get It On」、「Jeepster」等のヒットを連発、その過熱人気は
T.REXASYと称され、社会現象となるほどだった。但し、70年代半ばに人気は低迷する。マーク・ボランは1977年9月16日に交通事故にて他界。再評価されつつあるタイミングでの訃報故、大きな衝撃を与えた。29歳没。
おすすめアルバム
『The Slider』
このアルバムは、T.REXASYブーム真っ只中の1972年に発表。「Metal Guru」、「Telegram Sam」は、共に全英シングル・チャートのトップに輝く。
デヴィッド・ボウイも手掛けた敏腕トニー・ヴィスコンティのプロデュースの下、ストリングスやコーラス・ワークも凝らした緻密かつポップなサウンドは、艶やかさを醸し、まさしく、グラム・ロックを体現させたといっても過言ではないだろう。
この他、アコースティカルなバラード「Spaceball Ricochet」やロックンロール・ブギーの佳曲「Chariot Choogle」、ヘヴィ・ロックの「Buick Mackane」と特筆すべきナンバーが揃っている。アルバム成績は英4位、米17位を記録。
彼ら、いやロック・シーンの代表作となった。
Youtubeの曲の説明
アルバムに先駆けてシングル・リリース。
2ndシングル。キャリアにおいても最もポップな一曲。
Guns N' Rosesのカヴァーでも馴染み深いハード・ロック・チューン
Tyrannosaurus Rex時代を継承するアコースティカルなナンバー。
グルーヴ感を伴ったBolan Boogieの決定版。
個人の感想
T.REX の全盛期こそ、当時は一過性に終わったように見えたが、半世紀を経た今でも彼らはレジェンドとして輝き続けている。
『The Slider』は、その象徴であり、証だ。短い活動期間の中でまさに絶頂期の瞬間を捉えた一作。1972年、T.REXは実り多い時を過ごした。
『The Slider』リリース前、1972年3月に行ったロンドン、ウェンブリー・プールで開催のライヴは、「BORN TO BOOGIE」として映画化。
しかも、監督はリンゴ・スターが担当という豪華版だった。ステージ・ショットを中心にエルトン・ジョンやリンゴらとのセッションを交えた映像は、今や伝説として語り草となっている。『The Slider』のジャケット写真もリンゴ・スターが映画の合間に撮影したものだ。
T.REX、そして『The Slider』は後続アーティストに多大な影響を与えた。Duran DuranやCulture Club等、New Romantic勢の台頭。さらにRATTやMOTLEY CRUE、POISON、CINDERELLAといったグラム・メタル勢。また、Guns N' Rosesは、「Buick Mackane」のカヴァーまで発表している。そうしたアーティスト達のリスペクトがT.REX、『The Slider』をレジェンドへと導いたようにも思える。半世紀という途方もなく長き時を経てもT.REXASYは未だ色褪せない。
T.REXは2020年、ロックの殿堂入り(Rock and Roll Hall of Fame)を果たした。